ミュルザンヌ メーカーズ:「グランドベントレー」を支える名工たちミュルザンヌ メーカーズ:「グランドベントレー」を支える名工たち

ミュルザンヌ メーカーズ:「グランドベントレー」を支える名工たち

ベントレーのフラッグシップモデルとして約10年の歳月を経たミュルザンヌは、間もなく生産を終了し、新型フライングスパーにその役割を譲ります。 その時を迎える前に、そして世界的な危機が続き、工場が閉鎖される中、ベントレーはこの究極のラグジュアリーセダンを支える名工たちの比類ないスキルや専門知識に称賛を贈ります。ミュルザンヌの生産はこの4月に終了する予定でしたが、COVID-19による危機的状況が終息した後、ベントレーの従業員がクルー工場に戻ってから最後の車両を手作業で生産できるようにするため、生産期間を延長しました。

「グランドベントレー」を支える名工たち

ミュルザンヌは、最初期の手描きスケッチから最終的な生産終了まで、設計、製造、開発が行われたクルーにおいて徹底的に手作りされています。1台1台、実に400時間以上もの間、極めて優れたスキルや細部へのこだわりが必要とされる「ミュルザンヌ メーカーズ」と呼ばれる製造に携わる人たちの手を経て、7,300台以上のミュルザンヌが送り出されてきました。

ミュルザンヌ メーカーズには、ミュルザンヌを象徴するあらゆるスキルが求められており、伝統的な技能や素材を使用して高級車を定義付けるセダンの技術を開発し、販売することに関して他に類を見ないほど熱心に取り組み、ラグジュアリーとパフォーマンスの究極の組み合わせとしてその頂点を極めました。ここでは、ベントレーで活躍する8名をご紹介します。彼らは、ミュルザンヌを、その設計図面から現実のクルマに創り上げた何百人もの人々のスナップショットであり、ベントレーが生産を再開した後も、この傑出したモデルの最後の生産現場で手作業を続ける人々です。

ミュルザンヌは

クリスピン・マーシュフィールド - デザイン担当

クリスピンは、ミュルザンヌを自分のモノだと主張することができます。彼は、ベントレーのエクステリア・デザイン・チームの一員として、今では誰もが紛れもないミュルザンヌの姿として認識しているエクステリアのデザインを担当しました。クリスピンは、現在もベントレーの未来のモデルのデザインに携わっており、フリーハンドのスケッチから金属のスーパーフォーミング加工までのデザインを担当しています。

「ミュルザンヌのエクステリア・デザインには、プロジェクト立ち上げ時から携わっています。最初の構想段階から実物大クレイモデルの開発、そして最終的な生産開発にまで携わりました。」

「私にとってミュルザンヌは、常に私が最も誇りに思うプロジェクトの一つです。時が経つにつれ、ミュルザンヌは現代を象徴する存在として認識されるようになりました。」

「このモデルは独自の後輪駆動プラットフォームを基に作られたベントレーであり、6.75リッターV8エンジンを搭載する最後のモデルでもあります。このエンジンについては、何世代にもわたるクラシック ベントレーの系譜を辿ることができます。まさに一つの時代の終わりです。」

クリスピン・マーシュフィールド - デザイン担当

ピーター・ゲスト – エンジニアリング担当

ピーター・ゲストはミュルザンヌ・プロジェクトのボディ&トリム部門の責任者であり、ボディ構造全体およびキャビン全体の技術開発を担当しました。ミュルザンヌを完成させた後、ピーターはベンテイガのプロダクト・ライン・ディレクターに就任し、プロジェクトの初期の構想段階から納入までを担当した後、コンチネンタルGTや、最近ではフライングスパーでも同じ役割を担っています。

「ミュルザンヌは、そのエンジニアリングにおいて極めて野心的で、ボディ構造、電気系統、内外装のデザインを一新し、シャシーやエンジンの設計も大幅に見直されました。膨大な量の作業を社内の約600人のエンジニアで構成されるチームで受け持ち、最終的にここクルーで製造を担当することになるこれらのチームメンバーたちと協力して作業を進めました。例えば、ボディのDピラーには手作業でろう付けをする大きな接続部がありますが、これは「無垢材から削り出した」ような外観を実現するための最良の方法でした。」

「インテリアは全く新しい、極めて複雑なものになりました。数百片ものレザートリムと、キャビンを囲むよう完璧に配置された『リング・オブ・ウッド(木の輪)』が特徴です。繰り返しになりますが、私たちは工場で職人たちと協力して、私たちが設計したものを確実に生産できるようにしなければなりませんでした。それは大きな課題ではありましたが、私たちはそれを実現しました。そして、そのクルマの外観は、今でも目を見張るほどだと思います。」

「工場から出荷されるミュルザンヌを見るたびに、私は大きな誇りを感じます。当社がこのクルマを発売したとき、このクルマは『グランド ベントレー』と呼ばれていました。そして今、ミュルザンヌは、最新のグランド ベントレーである新型フライングスパーにその名前を引き継ぐことになりました。この2台の開発に携わり、息を吹き込んできた者として、フライングスパーがその名にふさわしい後継車であることは間違いありません。」

ピーター・ゲスト – エンジニアリング担当

イアン・ジョンソン – ホワイトボディ担当

イアンはベントレーのホワイトボディ部門で働く多くの職人の一人であり、あらゆるバリエーションのミュルザンヌのボディを手作業で仕上げていました。イアンは今後、ベントレーの製造部門のべンテイガの立ち上げチームで自身のスキルを発揮することになります。

「私はベントレーで8年以上、世界中のお客様のためにミュルザンヌのボディを製作してきました。その間、私は、様々な工具やヤスリを使い、伝統的な金属の仕上げや板金加工の技術を学び、発展させ、塗装部門へ運ばれる前にそれぞれのボディが極めて高い基準を満たしていることを確認してきました。」

「長年にわたり、このブランドのフラッグシップモデルに携わってきた素晴らしいチームの一員だったことを、私は本当に誇りに思っています。これは一つの時代の終わりを意味しますが、私は決して忘れることはないでしょう。これからもずっと、語り継いでいきたいと思っています。」

イアン・ジョンソン – ホワイトボディ担当

ロブ・トンプソン – 塗装(ペイントショップ)担当

ロブはベントレーに最も長く在籍する従業員の一人であり、40年以上の価値ある仕事を終えて、間もなく引退します。ベントレーのペイントショップ(塗装部門)で量産計画のマネジャーとして、40人以上の同僚からなるチームを率いてきたロブは、彼の専門知識をひとつ残らず継承することができました。

「私はベントレーに入社して今年で40年目になりますが、ミュルザンヌという物語の最初から最後までの一翼を担ってきたことは、私自身の大きな誇りです。私は2009年以来、ペイントショップを通過したすべてのミュルザンヌのボディに責任を持っています。」

「私にとって、ミュルザンヌはベントレーの伝統と現代のボリューム時代への移行が完璧に組み合わされた存在です。ミュルザンヌのために特別に調合したカラーの中には、ビスポークのサテンフィニッシュや、リキッドマーキュリーと呼ばれる極めて見事なメタリックなど、実に目を見張るものがあります。」

「ミュルザンヌは、発売以来、当社のフラッグシップモデルであり、それに取って代わるのは難しいでしょうが、新型フライングスパーは、そのすべての面で後継モデルにふさわしいクルマです。」

ロブ・トンプソン – 塗装(ペイントショップ)担当

ジョン・フィッシャー – 木工(ウッドショップ)担当

ジョンはベントレーに長く在籍する従業員の一人であり、ウッドショップ(木工部門)勤務を経て、現在は同部門の責任者になっています。業界をリードするベントレーのウッド・インテリア・フィニッシュを支えるべニヤやハンドクラフトの技術について、ジョンが知らないことはありません。彼はミュルザンヌでの経験を基にベントレーのウッドショップを率い、その知識を、これから見習いとしてウッドショップでキャリアをスタートさせる者たちに伝えています。

「発売以来、ミュルザンヌのウッドコンポーネントに取り組んできましたので、私にとって、ミュルザンヌは個人的に意味のあるつながりを持つベントレーです。」

「以前はウッドショップのプロダクション・マネジャーとして、ミュルザンヌのインテリアの中心的な存在であるドライバーと乗員を包み込むような「リング・オブ・ウッド(木の輪)」を実現するのに必要な多くの手作業工程の計画および実作業を担当していました。最高級の天然素材を使用し、他に類を見ないほどの配慮と注意を払って作られた真の芸術品です。」

「私にとって個人的に最も印象深い業務は、工場を訪れたお客様とお車の仕様を決める作業です。お客様は、すべてのベントレーを唯一の存在にしているディテール、複雑さ、手作業の職人技に心を奪われるのです。」

ジョン・フィッシャー – 木工(ウッドショップ)担当

ティム・サイペル – エンジン担当

ティムは、ミュルザンヌの象徴ともいえる「Lシリーズ」の6.75リッターV8エンジン(彼の指揮下でベントレー アルナージやブルックランズにも搭載)の開発に携わってきた豊富な経験を持っています。フォルクスワーゲン グループ初の製品として気筒休止システムを開発したティムは、ミュルザンヌが確立した基準への道を開くために貢献しました。現在はベントレーのすべてのV8エンジンのエンジン・キャリブレーションを管理しており、ティムの専門知識は受け継がれてゆきます。

「私たち皆が知っているミュルザンヌの定義づくりに大きな貢献ができたことを、とても誇りに思っています。ミュルザンヌは、私が2005年に入社した後、ベントレーで開発に携わった最初の新型車でした。私にとってミュルザンヌは究極のベントレーを定義づけたクルマであり、クラシックなベントレーを特別な存在にしたあらゆる属性を現代的に解釈し直したクルマです。その属性の大部分は私たちの特徴的なエンジンが占めており、現代のすべての排出ガス基準を満たすよう全く新たに設計されたこのエンジンは、ベントレーの象徴と言える『ウェーブ・オブ・トルク(トルクの波)』を実現したエンジンです。」

「そのため、6.75 V8との別れは、私にとって物悲しい想いがあります。このエンジンは、1959年に初めて生産が始まった『Lシリーズ』の真のアイコンです。私は、長年にわたりこのエンジンを開発し、洗練させてきたチームの一員でしたが、このエンジンは本当に惜しまれることでしょう。私たちは、8気筒のそれぞれにベントレーの心と魂を込めてきました。」

ティム・サイペル – エンジン担当

ドナ・モーリー – 業務(オペレーションズ)担当

ドナは、ミュルザンヌのライフサイクルにおける重要な瞬間に立ち会うことになります。現在、ドナはミュルザンヌの組み立て工程の業務(オペレーションズ)を管理しており、ミュルザンヌのすべてのハンドクラフトコンポーネントが一つのまとまりのある部品としてうまく組み合わさるようにする責任を負っています。

「私とミュルザンヌとの付き合いは、ベントレーが最初に量産準備段階の車両の開発をスタートした2008年に始まりました。この間、私はシニア・プロダクション・クオリティ・マネジャーを務め、すべてのプロトタイプがベントレーが求める最高の品質基準を満たしているかどうかを確認していました。

「私は今、同僚であるミュルザンヌ メーカーズのスキルを結集して完成車を作り上げるチームの一員になれて幸せです。クルー工場のゲートから何百台もの車両が旅立つのを見送っていても、飽きることはありません。」

「ベントレーがこれまで生産してきたミュルザンヌの一台一台に、究極のラグジュアリーを実現したことに、疑いの余地はありません。

ドナ・モーリー – 業務(オペレーションズ)担当

ハンス・ホルツガートナー – マーケティング担当

ハンスは、2007年にミュルザンヌのマーケティング・プロダクト・マネジャーとしてベントレー ファミリーの一員となりましたが、それ以来、ミュルザンヌから目が離せなくなったと語っています。ハンスは、お客様の声を代弁する立場として、ベントレーのビジネス全体にわたり、お客様が本当に望むミュルザンヌを確実にデザインし、設計、製造することに努めてきました。彼は現在、新型フライングスパーや将来の製品のための重要なマーケティング・プロジェクトを率いています。

「ミュルザンヌは、私の職業生活の中で最も充実したプロジェクトでした。自動車業界の頂点に立つクルマを扱っていると、芸術の世界へと踏み込むことになります。もはや単なる自動車ではありません。プロダクト・マネジャーとして、他の自動車メーカーでは考えられないような素材や工芸品、装備品を紹介することがあります。例えば10時間かけて手作業で磨き上げた無垢のステンレススチール製ブライトウェアなどです。」

「私は、2016年のジュネーブ・モーターショーで、フェイスリフト後のミュルザンヌ ファミリー、特にミュルザンヌ エクステンデッドホイールベースを、まったく予測していなかったお客様の前で公開し、反響の大きさを目の当たりにしたことは忘れられません。」

「ミュルザンヌは二度と訪れることのない瞬間をとらえた一枚の写真のようなものです。それは一つの時代の終わりであり、この種のものとしては最後のクルマです。私にとって、この作品は当社のこれまでの100年の活動と、その間に学んだあらゆることの集大成です。これから、私たちは極めて新しい章に踏み出します。」

ハンス・ホルツガートナー – マーケティング担当