クラフツマンシップはベントレーのDNAにとって重要な要素です。しかし、ベントレーのクラフツマンが仕事に取り掛かる前に、ベントレーを他のラグジュアリーカーとは異なる存在にする、重要な「初めの一歩」があります。それは、素材の調達と選択です。ベントレーでは、美しい木材やレザーからラグジュアリーな新素材まで、高い品質と持続可能性を兼ね備えたものだけを厳選しています。

最高の木材

ベントレーの購入時に選ぶことができるさまざまな種類のウッドパネルは、独特の色合いと木目を持つ樹種を見つけるため、木材のエキスパートたちが世界中を駆け回って多大な努力の末に調達しています。エレガントで直線的な木目を持つコアから、明るい材色と繊細な木目が美しいタモアッシュまで、ベントレーが使用するすべての木材は、持続可能性を考慮して倫理的に調達されていることが確認されているほか、高い品質を保つために厳格なテストが行われています。

例えば、豊かな赤茶色のリキッドアンバーのウッドパネルを作成するのに、エキスパートのチームは2年もの歳月をかけて徹底的な調査を行いました。その結果、アメリカのミシシッピ湿地に自生するレッド ガムツリーにたどり着いたのです。新しい木を伐採するのではなく、自然に倒れた倒木のみを採取し、1本採取したら必ず新しい木を同じ場所に植樹するという、これまでベントレーが実践してきたルールも徹底しています。

メタル&ストーン

ベントレーのフェイシアパネルに使用される素材は、木材だけではありません。カーボンファイバーはコンテンポラリーでスポーティな印象を与え、銅やチタンといった金属を織り交ぜることで、アイキャッチとなるテクニカルな雰囲気を出すことができます。

ベントレーの創業100周年を祝福するため、ビスポーク部門のマリナーは、ベントレー草創期の伝説となっているベントレーからインスピレーションを得た3種類の限定モデルを作成しました。それらのセンターコンソールには、1920年代〜1930年代に人気のあった旋盤で加工したアルミニウムを用いた「エンジンスピンフィニッシュ」が採用されています。

真に個性的なキャビンにしたい場合は、石を用いたパネルにすることもできます。これは精巧な技術を駆使し、スレートまたはカルサイトといった石材をわずか0.1mmの厚さの層に仕立てることで、見事に自然な仕上がりを実現します。

オーク材と銅の融合

創業100周年を記念し、2035年のラグジュアリー グランドツーリングをイメージして造られたコンセプトカー「EXP 100 GT」は、木材の使用を含め、未来のあらゆる可能性を探求するために作られました。持続可能な調達を新たなレベルに引き上げ、ボグ オーク材の専門家たちと協力し、何世紀にもわたって泥炭の沼に横たわっていた化石化したオーク材を再生しました。

その自然の美しさを高めるため、木目と木目の間にあるひびなどは、日本の金継ぎにインスパイアされた技術を用い、リサイクルした銅で埋めました。結果として、銅が注入されたリバーウッドは、キャビンに感動的なまでの静ひつさをもたらしています。

ファブリックへの回帰

1920年代と1930年代には、ベントレーのインテリアにはレザーではなくファブリック(布)が使用されることは珍しくありませんでした。その時代からEXP 100 GTが作成されるまでの間、ファブリックはマリナーによるビスポークか、英国王室向けに製造された車にのみ使用されてきました。

EXP 100 GTのドアパネルには、1世紀以上の歴史を持つ英国のファブリックメーカーであるゲインズボロー ミル社が作成した美しいコットンダマスクが使用されています。ゲインズボロー ミル社は、綿染料を使用して洗練された濃淡をつけたカラーグラデーションを作り、テキスタイルが隣接するウッドパネルに自然に溶け込んでいるように見せることで、キャビンに調和のとれた雰囲気をもたらしました。

ベントレーはまた、ロンドンで250年以上にわたって手作業による刺繍を手掛けてきたハンド アンド ロック社とも協力。ハンド アンド ロック社は、14世紀に起源を持つ技術のトラプント法を用いて、インテリア用に快適で深みのあるコンテンポラリーなキルティングを作成しました。

しなやかなレザー

ベントレーの洗練された快適さは、キャビン全体に使用されているレザーの高い品質に起因している割合が少なくありません。これは、レザーがクルーの工場に届くはるか以前に始まるプロセスのためです。レザーの傷の主な原因は、牛が虫に刺されることによるものですが、その虫が発生しにくい北ヨーロッパの高地で放牧されている牛を使用していることが、レザーの高い品質につながっているのです。

その後、レザーには特別ななめし加工が施されるため、クラシックなベントレーのインテリアを彷彿とさせる天然レザーの香りが保たれます。レザーのなかでも自然な弾力性を持つ部分は、シートなどの湾曲したパーツのために使用され、キャビンのあらゆる部分が理想的に仕上げられていきます。

美しくソフトなレザー

EXP 100 GTは、高品質のレザーの使用を継続しながら、革新的な仕上げ方法を追加することで、未来のグランドツアラーがあるべき姿を探求したコンセプトカーです。シートは、スコティッシュ レザー グループ社との協力により、柔らかく触感に優れたアニリンレザーを採用しました。可溶性の染料は、表面を均一に染めてしまわずに色を追加し、不完全性を持つレザーの自然さを保ちつつ、新たな色の層を乗せることを可能にしています。

ドアは、スコットランドの別のレザーメーカーであるブリッジ オブ ウェア社の協力で、メタリック仕上げの非常に柔らかいヌバックレザーを作成しました。革新的な手作業によるスプレーにより、銅色の表面が周囲のカーブした金属素材にシームレスに溶け込み、手作業でバフ研磨を行うことでレザーの美しさをさらに際立たせています。

素材の未来

ベントレーが創業100年を迎え、その歴史が2世紀目に入ったことで、高品質で持続可能な素材調達を行うという取り組みは、これまで以上に強力に推進していくことになっています。ベントレーが誇る上質なレザーやウッド、金属に加え、革新的な新素材や仕上げ方法を組み合わせることで、落ち着いた空間で洗練された快適さを提供するラグジュアリーカーを作り続けていきます。

ベントレーの職人たちが、これらの特別な素材をどのように活用しているかについての詳細は、クラフツマンシップのページをご覧ください。