A GLORIOUS RETURN TO COACHBUILDING

オープンエアラグジュアリーの究極の形を表現した、ルーフのないベントレー バカラルは、驚異的なバルケッタスタイルのグランドツアラーです。2020年に発表されたこのモデルは、世界最古のコーチビルダーであるマリナーのコーチビルド復帰第1弾となりました。わずか12台の限定生産で、そのすべてが生産開始のかなり前に完売しました。

OPEN-AIR EXHILARATION

イタリア語で「小さなボート」を意味するバルケッタは、20世紀初頭にサーキットで見られたルーフのないレーシングカーを指す言葉でした。しかし、このラグジュアリーな2シーターパフォーマンスカーは、オープントップであることを除くと、その時代のレースカーとの共通点はほとんどありません。

バカラルは改良された6.0リッターW12ツインターボエンジンを搭載しており、乗員に驚異的なスピードでのドライブ体験を提供します。ベントレーの創業100周年を記念して製造されたコンセプトカー「EXP 100 GT」からインスピレーションを得たエクステリアデザインは、希少な素材や専用の塗装オプション、新しいデザインテーマといった、前例のない選択肢をもとに、それぞれのお客様とのコラボレーションによって生み出されたものなのです。

AN EXTREMELY RARE SIGHT ON THE ROAD

わずか12台しか製造されないバカラルは、路上で見かけることができれば非常に幸運です。コンチネンタルGTより200mm広いリアトレッドと22インチのトライフィニッシュホイールによって作り出される力強いハウンチ周囲は、見る人に衝撃を与えるに違いありません。フロントとリアに水平基調で配置された独創的なライトは、EXP 100 GTに初採用されたモチーフで、前への推進力を感じさせるダイナミックなキャラクターを際立たせています。

身体を包み込むような「ラップアラウンド」コックピットは、インテリアとエクステリアが一体となったデザインであるのはもちろん、乗員の頭上から側面にかけての空気の流れを整えることで不快な乱気流を抑制するという、実用性にも優れています。美しさだけでなく、爽快感に究極の快適性を組み合わせることに成功したのです。

ATTENTION TO DETAIL IS EVERYTHING

バカラルのインテリアは、センターコンソールがダッシュボードに向かって急角度で立ち上がっていき、左右に広がってドアパネルへと途切れずに続いていくことで、乗員を包み込むようなラップアラウンド効果を生み出しています。各シートの後方にはバルケッタからインスピレーションを得たエアロダイナミックカウルを備えています。これが半密閉式のラゲッジポッドを隠しているため、一見するとインテリアにこれほどの収納スペースがあることはわかりにくくなっています。

そしてバカラルには、近づけば近づくほど見えてくるものがあります。エアベント、ステアリングホイールのスイッチ類、メディアおよびクライメートコントロールのスイッチ類、複雑なスピーカーグリルなどには、新たに採用されたローレット加工が施されています。さらに、ステアリングホイール、レザー仕上げのドアレバーやシートリリース、専用のデジタルメーターパネルが、バカラルのキャビンをより一層引き立てています。各シートには148,199本のステッチが施され、そのディテールは他の追随を許さないレベルにあります。

VISIONARY USE OF MATERIALS

マリナーのチームはバカラルを製造するにあたり、熟練の職人を数多く抱える厳選されたさまざまなサプライヤーと協力しました。それぞれが世界最高峰のクラフトマンシップを体現し、なおかつサステナブルで革新的な技術を持ち、可能な限り倫理的に調達された素材を使用しています。

これまで見られなかった素材には、英国産のウール、ダークブロンズ、リバーウッド(5,000年以上前に倒れた木が川底の泥土の中で保存されてきた木材)などがあります。リバーウッドは、損傷を防ぐために徹底管理された環境でゆっくりと乾燥させ、自然のまっすぐな木目を活かしています。また、外装に使用する塗料は「カラーストリーム」と呼ばれるものです。これは通常なら埋め立て処理されるだけの、米の生産過程で発生する毒性のある副産物のもみ殻灰を原料として作られたものです。

BUILT TO PERFORM

発表段階では、バカラルはまったく新しいコーチビルドカーでした。これは多数の新しいコンポーネントが必要だったことを意味しています。正確には、新コンポーネントの数は750点以上で、このうち40点以上がカーボンファイバー製、そして100点近くが3Dプリンターによる製造方法によって製造されました。

車両の性能に関しては、これらのコンポーネントを合計した以上に優れたものでなければなりませんでした。なぜなら、バカラルは単にビスポークのクラフトマンシップの実践にとどまらない存在だからです。バカラルのプロジェクトには、限界を超えてパフォーマンスを引き出すという意味があったのです。
搭載されているW12ツインターボエンジンはバカラル用として組み立てられたもので、最大トルク667lb-ft、最高出力650bhpという圧倒的なパワーを発揮するよう専用チューニングが施されています。その性能を検証するために2台のプロトタイプを製造し、20週間かけて45ものプログラムを経て、このモデルのパフォーマンスを徹底的にテストしました。昼夜を問わず、路面状況の悪いテストコースを走行し、峠を登ったり降りたりし、あらゆる天候で走行したのです。

バカラルはテストに次ぐテストをパスした車両です。そしてあらゆるベントレーがそうであるように、バカラルもまた、長い間乗っていただけるように設計され、製造されています。