TIME FOR A VICTORY LAP

2021年、マリナークラシックはこれまでで最も野心的かつチャレンジングなプロジェクトに着手しました。それが、伝説のコーチビルドベントレーといわれる6 1/2リッター「Speed Six」のワークスレースカー仕様を復活させるというものでした。1929年と1930年のル・マン24時間レースを連覇し、ベントレー黄金期における最後のル・マン優勝車でもあります。

このプロジェクトは、Speed Sixコンティニュエーションシリーズとして、わずか12台が製造される予定です。

A JOURNEY BACK IN TIME

A JOURNEY BACK IN TIME

ベントレーモーターズに残されていたオリジナルの設計図からスタートしたチームは、実際に1930年のル・マンに参戦したSpeed Sixを細部に至るまで研究し、現存する数少ないオリジナルの車両をデジタルスキャンするなど、科学的な分析を行いました。

これらの取り組みにより、史上初めてSpeed Sixをデジタル上で製造することが可能になりました。次のステップでは、オリジナルの設計図に基づき、実車と同様に新しい部品を製造することになりました。マリナーのチームは90年以上の時を経て製造される新車のSpeed Sixを、本物のハンドツールを使用しながら組み立てることになります。
A TRUE POWERHOUSE IN ITS DAY

A TRUE POWERHOUSE IN ITS DAY

1928年に発表されたファクトリーレーシング仕様のSpeed Sixは、ベントレーのレースカーとして最も成功したモデルでした。レーシングバージョンのこのモデルは、当時としては驚異的な200馬力/3,500rpmのパワーを発揮し、最高速度は201km/hに達するようチューニングが施されました。
Speed Sixのシャシーは、3,505mm、3,569mm、3,874mmと3種類のホイールベースから選べましたが、軽量であるという理由から短いシャシーに人気が集まりました。
Speed Sixは、1928年から1930年までの間に182台が製造されました。
A RACE THAT WILL NEVER BE FORGOTTEN

A RACE THAT WILL NEVER BE FORGOTTEN

1930年6月21日に開催されたル・マン24時間レースは、すでに世界恐慌の影響を受けていました。そのためレースに参加できる自動車メーカーは少なく、33台がエントリーしながらも、出場できたのはわずか19台でした。

スタートできた17台のうち、実に5台がベントレーでした。そのうち2台は、ベントレーボーイズの1人であるヘンリー‘ティム’バーキン卿が愛した有名なスーパーチャージャー付き4 1/2リッター「ブロワー」でした。残りの3台はベントレーのワークスチームの車両で、いずれも6 1/2リッターの高性能バージョンであるSpeed Six ル・マン仕様でした。

レースが進んでいくと、優勝は2台のベントレーに絞られ、この2台で1位と2位をかけて争うことになりました。長い戦いの末、ウルフ・バーナートとグレン・キッドストンのドライブするマシンが勝利を収め、バーナートはベントレー史上最も成功したレーシングドライバーとしての名声を確固たるものにしたのです。
ENSURING AUTHENTICITY

ENSURING AUTHENTICITY

Speed Six コンティニュエーションシリーズのプロジェクトを進めるうえで、研究対象として2台のマシンが使用されました。

そのうちの1台が「オールドNo.3」と呼ばれる車両で、1930年にル・マンに参戦した3台のSpeed Sixのうちの3台目です。完璧な状態で保存され、現在もオーナーがこの車両でレースに参加しており、当時の仕様を知るうえで貴重な情報源となりました。もう1台はベントレーモーターズが所有するSpeed Six(GU409)で、1929年にロードカーをオリジナルと同様のレースカー仕様にレストアした車両です。この車両は、新車に搭載される12基のエンジンのパワーとトルクの曲線をオリジナルのエンジンにマッチさせ、コンティニュエーションシリーズの車両のベンチマークとなるパフォーマンスとハンドリングのデータを提供してくれました。

THE SPEED SIX IS BACK

92年ぶりとなるSpeed Sixの新車の製造がいよいよ開始されます。このプロセスは、「カーゼロ」と名付けられたテスト・開発用の車両を製造することから始まりました。その後、お客様に納車する12台の車両が製造されることになりますが、この12台の完成以降はこの車両を製造することはありません。12台の新車は、ベースとなったオリジナルの車両と同様にコレクターズアイテムになることは間違いありません。カーゼロはベントレーモーターズが所有し、ブロワーのカーゼロと並んで今後のコンティニュエーションシリーズの始祖となる予定です。

マリナークラシックが今後再生産する車については、最寄りのベントレー販売店までお問い合わせください。